Calo Bookshop & Cafe 20周年記念シンポジウム「アーカイブの未来 喪失する記憶と生成する記憶」

講師:伊藤俊治・畠山直哉・港千尋
進行:三木学

日時:2024年11月30日(土)シンポジウム14:00~16:30 懇親会17:00~19:00
会場:Yoshimi Arts(シンポジウム・3F)、Calo Bookshop & Cafe(懇親会・5F)
大阪市西区江戸堀1-8-24若狭ビル

Chihiro Minato “Little Sparta”

Calo Bookshop & Cafeは、2024年春に20周年を迎えました。これを記念するイベントとして、10周年の際にもお迎えしたCalo店主の恩師的なお三方、美術史家の伊藤俊治氏と、写真家の畠山直哉氏、港千尋氏のシンポジウムを開催します。(港氏はCaloの名付け親でもあります。)
先生方をはじめ、ゆるやかに繋がる先生方の教え子でもある友人たちの活動にも励まされながらこのスペースを続けることができました。その感謝の気持ちをこめた企画です。
今回は10年前にはなかった配信もありますので、関心を共有される方に広くご視聴いただけましたらうれしく思います。

タイムテーブル
13:30 受付開始

14:00 シンポジウム開始

14:05 伊藤俊治氏講演
「デジタルアーカイブの病と治癒」
東京都写真美術館(1995年開館)、NTTインターコミュニケーションセンター(1997年開館)と、新しいデジタルメディアによる芸術表現の評価の確立とアーカイブを先導してきた伊藤氏。当時劣化せずに永遠に保存できると考えられていたデジタルデータは、その多くが記録媒体やファイル形式の変化、サービスの停止などにより閲覧不能となっている。また、実際の史料を持つ図書館や美術館・博物館のデジタルアーカイブが整備される一方、ネット上の多くの公式サイトが消滅、非公式なブログなどの記録が残るというデジタル時代の記憶喪失、「デジタルアーカイブの病」を発症している。物質化しないままデジタルの“亡霊”と化した人々の記憶や歴史をいかに治癒し、未来のアーカイブを描けるのか?

~休憩~

15:00 畠山直哉氏・港千尋氏対談
「見ることと信じること:生成と消滅の世紀における写真」
1996年にインターメディウム研究所(IMI)の写真コースで二人が最初に行った講義のテーマは「物質と記憶」だった。それから四半世紀。物質としてのフィルム写真は激減し、デジタル写真と生成AIによる大量のデジタルイメージが氾濫している。今日、デジタル写真は、不確かな人間の記憶を補うどころか、記憶を書き換えるメディアになっている。港氏は著書『記憶』(1997)の副題を、“創造と想起の力”とし、『映像論』(1998)の副題を“「光の世紀」から「記憶の世紀」へ”とした。一方で自然災害や戦争・紛争の激化は、都市やイメージを今までにない規模で消滅させている。確かなものがない「生成と消滅の世紀」において、未来を指し示す写真とは何かを考える。

16:30 シンポジウム終了

~会場移動・物販~

17:00 懇親会

19:00 終了

参加費・お申し込み
《要予約》通し券の販売状況によっては、シンポジウムのみのチケットを発売しない場合があります。

【会場参加】ご購入にはPeatixのアカウントが必要です(無料で作成できます)
シンポジウム・懇親会通し券 6500円(アーカイブの視聴もできます)※前売のみ
シンポジウムのみ 4000円(10月中旬より発売)
懇親会のみ 4000円(配信・録画はつきません)

・会場参加チケットのお支払い方法はクレジットカード/デビットカードのみとなります。
・会場参加チケットを購入された方も配信・アーカイブ視聴をご覧いただけます。当日ご来場いただけなくなった場合は、後日メールでお送りさせていただくご案内から配信・アーカイブ視聴をご利用ください。

【ライブ配信】配信プラットフォーム「ツイキャス プレミア配信」を使用します
シンポジウムのみ 2500円(アーカイブ付)
チケット代の他にツイキャスのシステム利用料160円が別途かかります。

※サイン本の販売を予定しています
会場参加・配信ともチケット購入済の方に、詳細が決まり次第ご予約方法をメールでご案内します。

講師略歴
伊藤 俊治(いとう としはる)
美術評論家/美術史家/東京藝術大学 名誉教授/多摩美術大学 客員教授
1953年生まれ。東京大学文学部美術史学科卒業、同大学大学院人文科学研究科美術史専攻修士課程修了。専門の美術史・写真史の枠を越え、アートとサイエンス、テクノロジーが交差する視点から多角的な評論活動のほか、展覧会の企画・キュレーションも行う。著書に『写真都市』(冬樹社)、『ジオラマ論』(リブロポート、ちくま学芸文庫)、『愛の衣裳』(筑摩書房)、『電子美術論』(NTT出版)、『バリ島芸術をつくった男』(平凡社)、『バウハウス百年百図譜』(牛若丸、Book&Design)ほか多数。

畠山 直哉(はたけやま なおや)
写真家/東京藝術大学大学院映像研究科 教授
1958年岩手県陸前高田市生まれ。筑波大学芸術専門学群にて大辻清司に師事。1984年同大学院芸術研究科修士課程修了。以降東京を拠点に活動を行い、自然・都市・写真のかかわり合いに主眼をおいた一連の作品を制作。 1997年木村伊兵衛写真賞、2000年毎日芸術賞、2012年芸術選奨文部科学大臣賞など受賞多数。作品はMoMAやTATE、東京および大阪の国立美術館など国内外の主要美術館に収蔵されている。者書に『BLAST』(小学館)、『気仙川』(河出書房新社)、『陸前高田2011-2014』(河出書房新社)など多数。

港 千尋(みなと ちひろ)
多摩美術大学美術学部情報デザイン学科 教授/写真家/批評家
1960年神奈川県生まれ。早稲田大学在学中に南アメリカ各国を移動しながら写真を始め、卒業後にパリを拠点に写真家として活動。1989年に起きた東欧の革命を取材する中で群衆とイメージについて考察を開始し、写真とテキストを組み合わせた独自のスタイルを作り上げる。以後、芸術の発生、記憶と予兆などをテーマに、国内外で制作と発表を続けている。2006年〈市民の色〉で伊奈信男賞受賞。著書に『インフラグラム』(講談社)、『写真論』(中央公論新社)など多数。2016年には「あいちトリエンナーレ2016」の芸術監督を務めた。

技術:有限会社アサヒ技研 八木啓介
フード・ドリンク:土と日 @soil_and_the_sun
グラフィックデザイン:後藤哲也 @tetsuya_goto

主催:Calo Bookshop & Cafe・「記憶の学校」実行委員会(石川あき子・長谷川みづほ・三木学・元木環)
協力:Yoshimi Arts、The Third Gallery Aya