2022年2月15日(火)~3月12日(土) 最終日は17時まで
マルコ・ポーロが『東方見聞録』を発表したのと同じ頃、行ってもいない東方世界の旅行記を著した稀代のペテン師、ジョン・マンデヴィル。
世に出るのを厭い、苔と羊歯の庭いじりを唯一の喜びとしていた息子アーサーは、ある日教皇から呼び出され、亡き父の書に記されたプレスター・ジョンの王国を探すよう命じられる。しかしその情報源は父の遺したデタラメ旅行記だった。
待ち受けるのは、羊のなる木や、魚にまたがるアマゾネス、犬頭人にマンドラゴラ、背中にギザギザのある怪物……-驚異と笑いに満ちた奇想天外な旅へ、しぶしぶ出発!
鼻行類や平行植物など架空図鑑のジャンルが好きな方に、自信を持っておすすめする宮田珠己初の小説『アーサー・マンデヴィルの不合理な冒険』(大福書林 2021/10刊)。網代幸介が描く物語に登場するものしないもの、奇妙でかわいくて怖い動植物……存在し得ない不思議な世界が好きで意気投合したおふたりの大傑作。
展示では、装画、構想段階で描かれた幻の絵、そして本に収められた3メートルの絵巻原画をご覧いただけます。当初扉絵のはずだったのに、網代さんが描いてしまった(!)絵巻に登場する、数々の想像の産物。みなさまも大きな絵でじっくりお楽しみください。
網代 幸介(Kosuke Ajiro)
1980年生まれ、空想から生まれた物語や実際に見た夢が描かれた世界には、人、動物、架空の生物など愛おしいキャラクターがちりばめられており、観るほどに親しみが増していく。装画や演劇のビジュアルなど様々な仕事を手がけるほか、絵本に『サーベルふじん』、『てがみがきたなきしししし』、作品集に『Огонёкアガニョーク』がある。
宮田 珠己(Tamaki Miyata)
1964年生まれ。1995年、旅エッセイ『旅の理不尽 アジア悶絶篇』でデビュー、以後ユーモラスな文体で独特な著作を次々発表。主な作品は『ときどき意味もなくずんずん歩く』『いい感じの石ころを拾いに』『晴れた日は巨大仏を見に』など。
協力:大福書林 https://www.daifukushorin.com/